• 豊山 彬紘

豊山 彬紘

とよやま あきひろ

Toyoyama Akihiro

 

無垢の行為

夏、砂浜では子どもも大人も、砂で山を作り、トンネルを掘り、城を築いたりします。波や風がまもなくすべてをこわし、跡形もなく消し去ってしまうことを知りながら、我を忘れて砂や波と格闘しています。冬、雪が降り積もると雪ダルマや雪の洞を作ることに夢中になります。時間がたって暖かくなると、解けてなくなってしまうこがわかっていながら、何か形にしてみたいという衝動が心や体を動かします。子どものころの泥遊びに通じる自然との交流の姿です。

土、水、火、木、風などの自然に対して、人が働きかける最初の行為や行動に、人は何の代償や見返りも要求しません。自らを自然の中に置き、自然に働きかけ、自然の中での人間を感じることだけで満足しています。

人がものを作るとき、それが機能を持つ生活の道具であったり、芸術作品であっても形を作ることの根底には、自然に対し、無心に働きかける無垢の行為、人に備わっている造形エネルギーを確かめようとする、純粋な行為がなければなりません。無心の働きかけの中から、新鮮な形との出会いが生まれます。

やきものをする場が、いつでも得られる状況で、大切なことは、作る技術や経験だけではなく、作り手のやきものに対する姿勢やものづくりの考えです。

無心に作り上げた作品は、人がものや形を作ることの意味を感じさせてくれるとともに、生活を何倍も楽しくしてくれます。

やきものを趣味にする人や、やきものを勉強する人にとって、粘土での形づくりは、やきものの工程の中で非常に大切なことです。

私は、形づくりをしっかり確実なものにすることから、やきものづくり全体が理解できるようになると考えております。

また、形を作り、自己を表現することは、人だけが本来持っている特別な行為ですから、やきものを作り続けることは生涯の楽しみにもつながります。

(陶芸-形をつくるたのしさ エピローグより)


  • 1942年(昭和17年)中国東北部「斉斉哈爾(チチハル)」で生まれる
  • 1946年(昭和21年)終戦後引き揚げ 東京都調布市に居住
  •         調布第一小、調布中、都立国立高校
  • 24歳 1967年(昭和42年)東京教育大学(現筑波大学)教育学部工芸・工業デザイン科卒
  •         陶芸研究会を立ち上げる
  •         在学中より宮之原謙、中里英人、両先生に師事
  •         岡弘先生に建築を学ぶ
  •         調布にて豊山工房開設(ガス窯、電気窯)
  • 25歳 1968年(昭和43年)~62歳 2005年(平成17年)
  •         日本陶磁器デザイン協会会員になる
  • 26歳 1969年(昭和44年)~29歳 1972年(昭和47年)
  •         工学院大学建築学部非常勤講師(彫塑)
  • 31歳 1974年(昭和49年)~桐朋学園教育研究所、陶芸講座の講師
  • 33歳 1976年(昭和51年)~1991年(平成3年)
  •         多摩芸術学園工芸科非常勤講師(クラフト・プロダクト)
  • 38歳 1981年(昭和56年)横浜市戸塚に転居 築窯(電気窯)
  • 43歳 1986年(昭和61年)津久井町(現相模原市)に転居 築窯(灯油窯、電気窯)
  • 49歳 1992年(平成4年)~1998年(平成6年)
  •         走泥社同人になる
  • 53歳 1996年(平成8年)~調布市文化コミュニティー振興財団市民カレッジ講師(陶芸)
  • 58歳 2001年(平成13年)第16回日本陶芸展 優秀作品賞(文部科学大臣賞)受賞
  • 61歳 2004年(平成16年)第一回中国古窯視察(定窯、磁州窯、釣窯など視察)
  • 63歳 2006年(平成18年)狭心症手術
  • 64歳 2007年(平成19年)第二回中国古窯視察(南宋官窯、龍泉窯、建窯、景徳鎮湖田窯など視察)
  • 67歳 2009年(平成21年)くも膜下出血のため死去。享年67歳